140字の俳句(日日の事)

雨に薄く濁った川に時々ギラリと光が走る。

 

イナと呼ばれるボラの幼魚が群れている。

護岸用に投げ込まれた一抱えもある石に

こびりついた苔をこそげ採っているのだ。

 

イナが体を反転させる度に銀色の横腹が鈍い光を放つ。

ここ江戸川の河口はボラの子に恰好の餌場を提供している。

 ボラの子の群れて平打つ雨の河

 

追記 ボラの卵の塩漬けはカラスミとして有名だが,ボラの身を

   喜んで食べる人は少ない。釣り場でもボラが釣れるとその

   まま放してしまう人が多い。しかし本当は美味しい魚だと

   云う。海辺の食堂で聞いた話だが、とに角内臓を破らない

   ことが大切。腹からではなく、背中から包丁を入れて開き、

   慎重に内臓を取り出すこと。ウロコは完全に取り除き、よく

   流水で洗えば刺身で食べてもとても美味しいとの事。

   チャンスが有ったらお試し下さい。