2024-05-01から1ヶ月間の記事一覧

140字の俳句(日日の事)

川岸に投げ込まれた護岸用の岩石。 そこに打寄せられた大魚の屍。 屍を見付けたカモメは飽食するまでそこを離れない。 人が近づくと睨みつける眼光は鋭い。 風が止み鏡の様な川面は対岸の緑を映し込んでいる。 五月も終わるが、魚の屍は一年を通して絶える事…

140字の俳句(日日の事)

小石川植物園にニュートンのリンゴと称する木がある。 ニュートンの生家にあった木の枝を接木したのだそうだ。 当時ニュートンが本当にリンゴの落ちるのを見て 万有引力を発見したかどうかについては諸説ある。 そこで少々ふざけた句を創った事がある。 本当…

140字の俳句(日日の事)

見上げる雲は雲の底。 当たり前の事に改めて気づき苦笑した。 全天を覆う厚い雲は全て水滴。 その数量は気の遠くなる数字。 地球規模の大循環を目の当たりにして、これ等に必要な エネルギーを供給する太陽の偉大な存在に対して、 足の竦む思いがした。 今年…

140字の俳句(日日の事)

濃厚な香りに見上げると泰山木の花。 真っ白い大きな花が常緑の葉の隙間に垣間見える。 この花は何故上を向いて咲くのだろう、これから 雨の日が多くなるを言うのに。 泰山木は神代の昔から変わらずに、大きな白い花を 空を見上げて咲かせ、高い所から濁世に…

140字の俳句(日日の事)

雨に薄く濁った川に時々ギラリと光が走る。 イナと呼ばれるボラの幼魚が群れている。 護岸用に投げ込まれた一抱えもある石に こびりついた苔をこそげ採っているのだ。 イナが体を反転させる度に銀色の横腹が鈍い光を放つ。 ここ江戸川の河口はボラの子に恰好…

140字の俳句

放水路沿いに立つ一本の桐の木。 高さは3米弱、まだヒョロヒョロの若木だが 五月下旬に花をつけた。 リンドウに似た筒状の薄紫の花。 昔は女の子が生まれると嫁入道具用に桐の苗木を植えたという。 花嫁御料はお馬に揺られて濡れて行く........ それにしても…

140字の俳句

つばなの花穂がほどけだし、少々惨めな姿を 晒すようになると姫女苑が勢いを増してくる。 野原、荒地、道端と環境を選ばずに楚々とした花を咲かせている。 庭に生えれば先ず抜かれてしまうだろうが、野に見る姫女苑は 背筋をピンと伸ばし、茎も葉も花も生き…

140字の俳句

楓の若葉は五月の風に絶えず葉を組み替え、 まるでジグソーパズルに興じているみたいだ。 楓の葉を通して見上げる空は細かく分かれ、 それぞれが限りなく碧い。 地上の苔には絶え間なく動き回る木漏日。 「全て世は事も無し」 何処かで読んだ詩の一節を思い…

140字の俳句

松の芯が伸びてきた。 昨年の暮れに大きく刈込まれた黒松はもう針葉を繁らせ、 ニョキニョキ松の芯を伸ばしている。 芯の先っぽに将来松ボックリになる小さな玉を載せ、 真直ぐに上を目指している。 松の芯の伸びは早いが、遠からず自らも葉を繁らせ、 針葉…

140字の俳句

ギシギシは何処にでも見られる背の高い草。 いつでも元気、どこでも元気。 背丈は1米以上になり、野原に畑に場所を選ばない。 今は淡い緑色の花を沢山房状につけており、 腕白坊主の恰好な遊び道具。 人はこれを始末の悪い雑草と呼ぶ。 春の若芽は美味、根は…

140字の俳句

どくだみの花が咲き始めた。 生薬として珍重する人、独特の匂いを嫌う人と様々だが 半日陰の路地裏に、ガード下の痩せた僅かな土地でも 逞しく勢力を広げている。 その旺盛な繁殖力にも拘わらず花は清楚だ。 デリケートで純白の小さな十字花を嗅ぐと矢張り …

140字の俳句

黒ネクタイの小鳥,四十雀が早朝からしきりに囀っている。 四十雀の雄は健気だ、小さな体の何処から あんなに通る声が出るのだろう。 懸命にテリトリーを主張している。 近年、人間様は男女の役割を巡り尽きない論議を繰り返して来たが 四十雀の雄雌にそのよ…

140字の俳句

東京湾の奥まった場所でも季節になると皐月波が立つ。 等間隔に波立ち、一緒に走り行く姿はこの季節ならではの光景である。 それぞれの波頭は強風に吹き千切られ、白髪を振り乱しているようだ。 南寄りの強風が続くと海底の砂が掻き回されて、豊穣の海となる…

140字の俳句

房総半島の山並みは今、様々な緑に彩られている。 山肌を埋める木々は椎、樫、楠、椿等。 それぞれの葉の緑は微妙に違う。 わけても椎の類はモクモクと雲が湧き上がるように 若葉を繁らせ、まるで若葉同士が力自慢をしているみたいだ。 楠も美しいが盛りは過…

140字の俳句

小型タンカーと言っても船の長さは30米くらい有る。 荷を満載して船体は沈み、如何にも重そうである。 その分,岸に打寄せる引波は激しい。 川辺で竿を振る釣り人は次々に襲う波に身構えている。 昨日の大雨で川は茶色く濁り、タンカーに引き摺られるように …

140字の俳句

枯蘆の原に緑が帰ってきた。 既に七割近くは枯色から若い緑に代わっている。 生あるものの輪廻である。 暫くすれば枯れた親の背丈を若蘆が追抜き、 新しい世代が一帯を席捲する。 我々ホモサピエンスの脳はこの様な現象を好ましく思うように プログラミング…

140字の俳句

車輪梅は海辺を好む。 梅に似た小振りな五弁花を五月の浜風に揺らし、 辺りに淡い香りを放っている。 ひと気の無い岸壁の隅っこの、コンクリート舗装の割れ目に しっかり根を下ろし、海風に耐え波しぶきにも耐え、 誰にも知られず、誰にも媚びず、一途に可憐…

140字の俳句

斜面を覆う‶つばな”の群生。 江戸川の土手は今‶つばな“の最盛期を迎えている。 昔は子供達が若い花穂を口に入れて甘味を楽しんだ と言うが、今の子は殆どその事を知らない。 腰を降ろして目線を下げると、土手の斜面全体が つばなの白い花穂に塗り込められて…

140字の俳句

農園の水汲み場で今年初めて燕をみた。 水場の周囲はいつも濡れており,巣作りの泥を採るのに 都合よいのだろう。 次々に泥をくわえては翼を翻してゆく。 そうか、故郷へ戻っての初仕事は泥集めだったのだ。 新築?それとも大修理? 彼女たちはみんな日本生…

140字の俳句

小鳥達の巣立ちが盛んだ。 住宅街の敷石に遊ぶ小雀はもう一人前に カチカチと金属音に似た爪音を響かせている。 濡れたような雀色のスーツに身を包み。 群れに近づくと小雀達は一斉にツツジの植込みに隠れ、 それから次の餌場を求めて飛び去った。 屋根瓦数…

140字の俳句

丁寧に刈込まれた生垣から一本の海芋が飛出している。 朝日に冴える純白、開花したばかりの漲る生気、 単純故に花としてはユニークな姿。 調べると語源は幾つか有る様だが、なかでも 「修道女の襟に似ている」が気に入った。 和名の海芋よりもカラーと呼んで…

140字の俳句

桜若葉の並木道にはどこかホッとした空気を感じる。 全力で咲切った後の安堵感だろうか。 目を凝らすと高い所に枯れ枝を集めた鳥の巣。 はみ出しているのはカラスの尾の先らしい、 卵を抱いているのだろう。 カラスも若葉の繁りを待っていたのか。 桜若葉は…

140字の俳句

東京湾に面した広大な芝生公園は 休日になると若い夫婦や子供達で賑わう。 晩春の日差しに海風が心地よい。 小柄なパパが股下にすっぽり入る丈の子の両手を握り、 一生懸命歩き方を教えている。 遠く石油タンク群が銀色の鈍い光を放ち、 沖には何隻もの大型…

140字の俳句

道の両側は四角く刈込まれたツツジの植込み。 まるで大家の花嫁行列が一休みしているようだ。 ゴルフ好きの興奮するマスターズのコースもツツジ、ツツジ。 一斉に咲揃うツツジは大きく口を開いて何かを歌っている。 ドレミファのファで咲揃う白ツツジ

140字の俳句

川沿いの小道に二本の桜。 共に二米余りの若木だが、昨年はもう赤い実をつけていた。 今年の四月中頃には昨年よりずっと多い実があった。 それから一週間 ,桜ん坊は一つ残らず無くなっていた。 犯人はヒヨ鳥かそれとも悪ガキか、もし悪ガキの母へのプレゼン…

140字の俳句

新人です。よろしくお願いいたします。 俳画の世界は江戸時代に確立していますが、僕は絵に変えて短い物語を自作の俳句に添えてみたいと思いました。 物語の長さは140字以内、SNSの投稿制限字数にとどめます。 一分以内に読み終えて肩の凝らないストーリにす…