140字の俳句(日日の事)

黒くなった幾つもの山桃の実がベンチの上に転がっていた。

鮮やかな赤色を経て暗赤色になると、実を落とし始める。

昼夜を問わず盛大に落とし続ける山桃の実は、やがて車座

となって樹の根本を囲むようになる。

鮮やかな赤色が食べ頃で、今年はその時機を逸してしまった。

山桃の夜のしじまに落ち止まず

 

追記 都会では余り食べる習慣の無い山桃。

   理由としては果実の傷みの速さが挙げられる。

   高知県の郡部では今でも季節になると、早朝に

   山桃売りが来るそうだ。とにかく短時間に売り切る

   ことが肝だとか。

   俳句では楊梅と書いてヤマモモと読ませることが多い。