2024-09-01から1ヶ月間の記事一覧

140字の俳句(日日の事)

「馬糞の川流れ」つい最近になって知った言葉だが、中国の 故事では無い、政治家の故金丸信が纏りのない自民党派閥を 皮肉って云ったそうだ。馬糞は水中に投ずると直ぐバラバラ になってしまうからだとか。 旨い事を云うものだ。 新しき馬糞の湿り赤マンマ …

140字の俳句(日日の事)

大川の土手の傾斜が上昇気流を生みやすい為だろうか、 羽ばたく事を殆どせずにトンビが大きな輪を描いて飛んでいる。 一見悠々として大らかだが、視力は極めて良いそうで、 折角のお弁当を横取りされる事も有るから油断できない。 羽ばたかぬトンビの空に秋…

140字の俳句(日日の事)

夜の涼しさは秋ならではの喜び。昼間の不快な残暑が 有ってこそである。 夜の大河は白く鈍い光を放ち乍ら神々しいまでの威厳 を湛えていた。 秋の夜大河の蛇行仄白く 追記 五行陰陽説による秋の色は白。 別に従わなければならない理由も無いが、 夜の大河は…

140字の俳句(日日の事)

肘枕外れる度の良夜かな 古畳に寝ころび肘枕で月を見ている。 別に高尚な事を考えている訳ではない。俗世の雑事からは 離れられず、詰まらぬ考えで堂々巡り。 その内にうつらうつらを舟を漕ぎだす。暫くするとガクッ! 頭が垂れて目を覚ます。 月は先程より…

140字の俳句(日日の事)

銭湯には大抵一本の高い煙突が立ち、腹に○○湯と書いてある。 建物は一際大きく、高さもある。 内部の洗い場から見上げると、高い天井に湯気抜きの高窓。 その高窓からは月が覗いている。 オーイ出るぞ銭湯の高窓に月 追記 男湯と女湯の間には高い壁。しかし…

140字の俳句(日日の事)

俗にいうネコジャラシ。 昇る朝日を横から受けると、犬の尾 の様な房状の穂は透けて、細かい髭状の部分が黄金色に輝く。 目線を下げると荘厳な光景が現れ、夢の世界へ迷い込んだような 雰囲気を漂わす。 日を受けて夢に戻るやゑのころ草 追記 ネコジャラシは…

140字の俳句(日日の事)

秋天はスッキリしていて、その上奥深い。 何処までも深い青はむしろ底知れぬ不気味さすら感じさせる。 濃密な青の世界は侵入しようとする者を頑なに拒んでいるが、 気の遠くなるような未知の世界への入り口でもある。 いささかも入る余地なき秋の空 追記 大…

140字の俳句(日日の事)

若い頃は自信満々だったような気がする。今考えれば馬鹿 みたいな話だ。 世の中は甘くないよ! 若い人に贈る言葉としてこれが最高 だったりして??? お陰で今はつたない年金暮らしです。 突張って世に出しものの吾亦紅 追記 「吾もまた紅なり」と自ら唱え…

140字の俳句(日日の事)

薄闇の迫る坂の上から川向うを望むと、廃業した銭湯の 煙突が一本、高々と突っ立っている。 煙突に沿って目を上に遣ると満月がそこにあった。 少し得をしたような気持になった。 煙突にトンと突かれて望の月 追記 最近は行かなくなったが、銭湯代はやけに高…

140字の俳句(日日の事)

〽赤い花なら曼殊沙華・・・・・ 昔ラジオからよく流れていた。 この花には毒がある事、 根は飢饉時の非常食になった事、さては葬式花とか墓花 とか、呼び名だけで一千種類を超えると云うから凄い。 それ程人々に何かを感じさせるのだろう。 べべ着せて櫛を…

140字の俳句(日日の事)

昔から日本人の大好きな萩の花。 小型の丸い形をした葉も捨てがたい。こんもり繁った葉が 風にそよぐ様子も中々である。 全体として涼やかな美しさを感じさせ、正に日本人好みだ。 萩の葉を濡らし切らずに通り雨 追記 萩は山火事で黒焦げになった跡地に一早…

140字の俳句(日日の事)

真夜中のベランダから見る中秋の名月は天心に近かった。 予報は晴れ、確かに晴れには違いないが薄く鰯雲が 掛っていた。 この事がかえって良く、何とも神秘的で荘厳な雰囲気を 演出して呉れていた。 今日の月ウロコ躍らせ鰯雲 追記 中秋の名月は芋名月とも呼…

140字の俳句(日日の事)

今年は九月に入っても異例の暑さ。真夏日の記録も次々に 塗り替えられている。 早起きして深呼吸、生暖かい高温・高湿度の空気を吸込む のはどうも・・・ しかし、気管や肺にはかえって優しいのかも知れない。 朝一番胸一杯に残暑かな 追記 残暑なる言葉を覚…

140字の俳句(日日の事)

オニヤンマはトンボ仲間で最大かつ最強と言われる。 黒と黄色の縞模様が悠々と飛んでいる姿は子供達の憧れだ。 普段はゆったり飛んでいるが、いざとなれば時速7~80km は出せる。 飛翔能力も昆虫界ではピカイチと凄い事尽くめ。 竜神の沼で尻掻くオニヤンマ …

140字の俳句(日日の事)

葛の花。深紫の香りのよい美しい花と称される一方、 害草と嫌われる一面も持つ。 「毀誉褒貶」、よく政治家に使われる言葉を思い出す。 葛の花は二日酔いに効くと言われ、何度か試したが 効いたような効かないような。 宿酔の藁にもすがる葛の花 追記 かつて…

140字の俳句(日日の事)

昼は多少見苦しいどぶ川も、月の光の下では一変する。 薄紫の月光がどぶ板の隙間から差込むと、そこには無数の イトミミズが絶えず軟体を動かし、ゆらゆら揺れている。 夜のどぶ川の生命力溢れる光景は神秘的ですらある。 イトミミズどぶ川に射す月明り 追記…

140字の俳句(日日の事)

古い神社は杉の緑に埋まっていた。 近づくとそれぞれの杉は堂々としていて揺るぎない。 朝霧が明らかにしてくれたお陰だが、ビックリする程 高い所まで蜘蛛の巣が張られていた。 蜘蛛の囲のかくも高きに露を載せ 追記 日が昇り暫くすれば露も消え、蜘蛛の巣…

140字の俳句(日日の事)

小さな鉢に植えられた大文字草。 大の字にそっくり な事に感心した。 五枚の花弁が確かに大の字を描き、 特に払いの部分の一枚が長い。 伸び伸び払う筆遣いを連想させた。 大の字の払いは長く大文字草 追記 ユキノシタ科に分類され、葉の形はユキノシタに 似…

140字の俳句(日日の事)

潮騒の合間を縫って聞こえてくるコオロギの声は何処か 哀しい。 コオロギは森林、草原、海辺、さては人家の周囲と 何処にでも棲む。恐らく縄文人の家の中にも入り込み、 長い夜をしみじみと鳴き通していた事だろう。 ちちろ虫何も答えぬ夜の海 追記 コオロギ…

140字の俳句(日日の事)

幾つになっても雑事と家内の小言は絶えない。 家に在っては脱いだ靴下の置き場所から食事の速度まで・・・ 昔偉い先生曰く「人生七割は雑事」、こう割り切れば多少 心も軽くなるが。 それにしても国の内外は問題山積、兎にも角にもかまびすしい。 浮世人ギッ…

140字の俳句(日日の事)

桔梗は秋の七草の一つだが、実際に咲き始めるのは六月 の後半、そろそろ花も終りの時期を迎える。 蕾が膨らんでラッパ状の花を咲かせると早速シジミ蝶が やって来て、花の奥まで入り蜜を吸う。二匹一緒に入って いるのを見た事がある。 彼女達にとっては恰好…

140字の俳句(日日の事)

朝方は真っ白い清楚な花が、夕方になると赤く変わってしまう 酔芙蓉。 アル中気味の男性には弱いところを突かれたような でもどこか親しみを感じるような・・・・ 一日葬迫る夕暮れ酔芙蓉 追記 昼頃を過ぎるとそろそろ赤みを帯び始める一日花。 しかし、厚い…

140字の俳句(日日の事)

頭と腸をきれいに取り除いた秋刀魚が店先に並んでいた。 なんで? それは客が好むから、分かってはいるが釈然 としない。 子供時代の経験、つまり親の教育を責める 資格はないが・・・・ 秋刀魚食う稀なる漢頭から 追記 新鮮な秋刀魚の見分け方が書いてあっ…

140字の俳句(日日の事)

流れる雲の様子から秋を知る。誰でも感じるし経験する事 だが、そんな様子を水溜りの中に見た。 堤に作られたアスファルトの遊歩道には、昨日の雨の水溜 りが幾つも残っていた。 近づけば秋の雲ゐる水溜り 追記 ウロコ雲、イワシ雲、サバ雲いづれも巻積雲の…

140字の俳句(日日の事)

まだ薄暗い朝の散歩、小さな水田の脇を通った。 稲の花の匂いだろう、懐かしい豊かな香りが低く棚引くように 広がっている。 何千年もの間繰り返されてきた事だ。自分の存在を含め全ては 悠久のひとこまに過ぎない。 朝まだき低く匂うや稲の花 追記 水稲は永…

140字の俳句(日日の事)

奥多摩を歩いていて気付いたことがある。 傾斜地を利用した畑の土は、頁岩とか泥板岩と呼ばれ 薄く剥がれる柔らかい石が主体だった。 こんな瘦せ地にも蕎麦は育つ。 石くれを含む山畑蕎麦の花 追記 農夫は傾斜した畑を下から上の方へ掻き上げるように 鍬を使…

140字の俳句(日日の事)

各国で栽培されているトウモロコシ。 種を蒔けば放っておいても大きく育つが、実がつき始めると 必ずと云って良いほどアワノメイガの幼虫が実に入り込み、 台無しにしてくれる。 よほど慎重に作業を進めないと、失敗する事請合いである。 その点、農家の作る…

140字の俳句(日日の事)

もう九月ですね、早いものですね・・・交わす言葉に 新鮮味はないが、毎年繰り返されているように思う。 これが十月に入っても、十一月になっても同じような 挨拶を繰り返して行く。 これって気心の知れた日本人同士ならではの事? 陰暦の九月はナガツキでし…

140字の俳句(日日の事)

ご婦人の好きな甘藷のシーズン到来である。 個人的には少々トラウマが残っており、余り好きではないが、 連合いは全く逆、彼女の好きなようにさせている。 それにしても戦後の甘藷の働きは偉大である。 初藷の擦り剝けながら現るる 追記 甘藷は紀元前三千年…

140字の俳句(日日の事)

棚にぶら下がる沢山の葡萄の房。 人の心を和ませ、幸せな気分にさせてくれる景色である。 房は肩の張った逆円錐形、下がる程実の数は少なくなる。 あんなに瑞々しい実を数多く付けるのに,水捌けがよく 乾燥気味な土地を好むと言う。 房葡萄一番下は一つなり…