140字の俳句(日日の事)

スーッと伸びた姿、やや冷たい感じの葉や花茎の緑。

幾分下向きに咲く様子。

水仙には気品だけでない何かを覚える。

 水仙の 背筋を伸ばす 憂いかな

 

追記 下記は芭蕉の”水仙”を詠み込んだ句です。

     「その匂ひ 桃より白し 水仙花」

   なぜ”桃より白し”なのか? 此れだけではよく分かりませんが

   芭蕉が門人の子息に与えた俳号に、由来するようです。

   当事者にとってはとても嬉しい事だったのでしょう。

140字の俳句(日日の事)

枯れた松葉の落ちている道を歩いた。

枯れ松葉の量があまり多くなかったので、殆どは風が

運んで来たらしい。 大方同じような方向を向いていた。  

 風の行く 道を教える 枯松葉

 

追記 下記は松葉を詠んだ正岡子規の句です。

    「凩や 松葉吹散る 能舞台

   吹きっさらしの能舞台でしょうか、寒々とした

   様子が伝わってきます。

 

140字の俳句(日日の事)

手入れの行き届いた芝生の広場は今、一面の枯れ色。

一年中で最も穏やかな風景と言えそうだ。

安心し切って、眠り込んでいるようにも見える。

 広々と 枯芝色の 寝息かな

 

追記 ”枯芝” を詠み込んだ写生句です。作者は田中丈子さん。

     「枯芝を 来る三人の 影斜め」

   恐らくどこかの句会で票を集めた事でしょう。

   臨場感のある句だと思います。作者の詳細は分かりません。

 

140字の俳句(日日の事)

今日はスカッとした冬晴れ。

改めて気付いたことだが、木々の幹や枝の全てに

日の当たるのは、葉を落とした冬場だけという事。

 枯木立 枝を広げて 日に浸る

 

追記 ”枯木” を詠んだ句で、蕪村に面白いのが有った。

     「鹿寒し 角も身に添ふ 枯木哉」

   そう云われてみれば、牡鹿の角は確かに枯木のようです。

   蕪村は柔らかい頭の持ち主でした。

140字の俳句(日日の事)

近くの水連の池は、ひっそりとしていて訪れる人も稀。

十数本の枯れ葦が、時々吹く風に揺れているだけ。

冬の青空は抜けるように青い。

 枯れ葦の まばらに吹かれ 冬の池

 

追記 次に挙げるのは、枯れ葦で知られる句。

   江戸時代の俳人、高品蘭更の作品です。

   「枯れ蘆の 日に日に折れて 流れけり」

   作者はこの句が有名になり「枯蘆の翁」と

   呼ばれたそうです。書の達人でもありました。

140字の俳句(日日の事)

北風の吹き抜ける土手を歩いた。寒いことは

寒いのだが、枯れ切った色の、まっすぐ続く風景は

それなりに美しかった。

 真直ぐに 続く斜めや 冬の土手

 

追記 ”土手” を詠み込んだ、西川文子さんの句です。

     「音立てて 草焼く炎 土手走る」

   猛り狂う炎が目に浮かぶようです。

   女史は何冊かの句集を上梓されているようですが、

   プロフィールは分かりません。

140字の俳句(日日の事)

今朝は薄暗いうちに、表に出た。

天心近くに大きく欠けた月が掛り、かなり冷え込んでいる。

川鵜が隊列を組み,餌場を目指していた。

 黎明の 冬月高く 鵜は沖へ

 

追記 奇抜な発想の句を見つけた。西村葉子さんの作品です。

   「蝙蝠が 三日月銜えて 来たむかし」 きっとそうだった

   のでしょう。発想の広がりが素敵だと思いました。

   作者のプロフィールは分かりません。