2025-08-01から1ヶ月間の記事一覧

140字の俳句(日日の事)

太陽に背を向けて咲いているヒマワリを見た。 勿論殆んどは太陽を見上げているが、数ある中には 横を向いたり、そっぽを見たり、後ろを向く輩すらいた。 三千世界・日に背を向ける向日葵も 追記 広い世界には色々なのがいる。考え方、目玉の色、服装 食べ物…

140字の俳句(日日の事)

多くの人が銭湯に通っていた時代。まだ明るい内に湯屋の 暖簾をくぐる老人。 早い時間の湯は熱い。熱いのを 我慢して湯につかるお年寄りの背中には、幾つもの 灸の痕。 一番風呂背骨に沿った灸の痕 追記 飛び切り熱い湯に入る老人は、たいてい痩せ型で 太っ…

140字の俳句(日日の事)

今朝はやけにオナガが騒々しい。別段危険が迫っている 様にも見えないが。 彼等にとっては楽しい朝餉の会話かも知れないが、 聞かされる人間には耐え難い。 逞しきオナガの騒ぐ朝曇り 追記 美しい姿とは似ても似つかない声で鳴くオナガ。 「天は二物を与えず…

140字の俳句(日日の事)

ガマの穂を見ると、何故か握握(にぎにぎ)を連想してしまう。 それも赤ちゃんのでは無く、ワイロの事。 長いサラリーマン生活を振り返ると、ワイロを受け取れるような 立場には一度も立たなかった。いや立てなかった? 蒲の穂や握握らしき事もなく 追記 古…

140字の俳句(日日の事)

酒を飲む方ならどなたも一度や二度はある筈。 あゝ、何であんなことを! ・・・・もっと深刻な例だって。 子供の頃から知っていました「後悔先に立たず」って事は。 あの時のあれさへ無くば酔芙蓉 追記 一時期「鶴」を主宰した俳人、星野麦丘人の句です。 「…

140字の俳句(日日の事)

酷暑日の夕方、ザーッと降っても一時間かそこらで 止んでしまう夕立。雨が過ぎれば再び太陽が現れる。 カラッとして腹に一物も無い気持ちよさ。 夕立の釈然として通り過ぐ 追記 最近「ゲリラ豪雨」という言葉をよく聞くが、夕立との 本質的な違いは無いそう…

140字の俳句(日日の事)

夏の日の昼下がり、道の端に建つ小さな地蔵堂は木陰の中。 お地蔵さまもうつらうつらされている。 木陰を作る大きな樹では、ツクツクボウシが声を張り上げ 求愛中。 辻地蔵昼の眠りを法師蝉 追記 伊豆八丈島にはツクツクボウシ以外の蝉が殆ど居らず、 ひと夏…

140字の俳句(日日の事)

上流が大雨になると、河口付近も暫くの間は泥で 濁った流れが続く。この濁った水を飲みに来るハト の姿を良く見掛ける。 ミネラル補給をしているのかも知れない。 台風禍ハトが水のむ泥の河 追記 台風を詠んだ句で「台風に一喜一憂林檎園」が 目に止まった。…

140字の俳句(日日の事)

羽の一部が抜け落ちた、みすぼらしい状態で 飛んでいるカラスを見た。しかしカラスが自分の 姿を気にしている様子はない。 翼を大きく動かして堂々と飛び去って行った。 川風や羽抜け烏の涼しげに 追記 カラスの羽が無疵で落ちているのを時々見かける。 少な…

140字の俳句(日日の事)

ヤマボウシは花を終え、沢山の小さな実が色づき始めた。 種類によっては、サクランボクラスの大きさになる様だが 家の近くのヤマボウシの実は小さい。 若き実の仄かに甘きヤマボウシ 追記 ヤマボウシの実は食用になるそうだが、長い間その事を 知らずに、素…

140字の俳句(日日の事)

リタイアして、時間をやや持て余し気味の年配者の 中には、一日に三回も四回も散歩する方がおられる。 その度に付き合わされるワンちゃんも楽ではない。 また散歩犬も嫌がる西日中 追記 人生100年が叫ばれる今日、ボケない為のノウハウを 盛り込んだ番組が増…

140字の俳句(日日の事)

ギラギラ照り付ける太陽の下で、人通りの絶えた 住宅街の午後。目の前を横切る猫の落ち着き払った 動きに見入ってしまった。 黒猫の向かいの垣へ日の盛り 追記 単独行動でしかも肉食の猫にとってテリトリーは 欠かせない。現代の野良猫にもこの習性は残って…

140字の俳句(日日の事)

滝ノ水の落ちる音だけが聞こえてくる、寝苦しい夏の夜。 何時の頃だったか、確か民宿に泊まった時の遠い記憶。 歳時記を手に、浮かんだ句。 天地(あめつち)のほとぼり冷めず夜の滝 追記 滝を詠んだ有名な句で、強く記憶に残っているのは 後藤夜半の「滝の…

140字の俳句(日日の事)

用水路に浮かべた笹舟は、両岸から伸びる夏草に 邪魔されながらも、結構な速さで進んで行く。 見えなくなるまで行方を目で追う子供たち。 笹舟のどこまでも行けそうな夏 追記 「笹舟のゆるき舟足花藻かな」飴山實の句です。透明な 水の中に揺れる藻の花、緩…

140字の俳句(日日の事)

道路脇の荒地に 鉄砲百合が一株、毅然として 横を向いていた。 気位の高い佳人を思わせ、改めて この花を見直した。 スッキリとしてそっぽ向く鉄砲百合 追記 その日は曇り空で時折小雨がパラパラ落ちてくる。 重苦しい感じの空気の中で、目に飛び込んできた …

140字の俳句(日日の事)

赤のまま(赤まんま)の正式名はイヌタデ。 道端など何処にでも見られる雑草。ままごとにも よく使われる可愛い小花だが、芯は強く旺盛な 繁殖力を持つ。 砂利道の砂利を掻き分け赤のまま 追記 その姿は優しくとても可愛らしい。山口青邨は 「わが心やさしく…

140字の俳句(日日の事)

突然の雨、夏草の裏に身を隠そうとする天道虫を見た。 天道虫なりに自分の身を護るすべを身につけている。 親の顔も知らず、誰に教わった訳でもないのに。 俄雨葉裏へクルリ天道虫 追記 飯田龍太の句「よき仲の痩夫肥妻に天道虫」何となく ユーモラス。痩せ…

140字の俳句(日日の事)

百日紅は真夏の花。ジリジリ照り付ける太陽の下で 縮れたレースの様な花を次々に咲かせている。 真冬の月光に照らされた寒々しい木肌のイメージとは 真逆の世界。 昼の月地の炎熱に百日紅 追記 百日紅よりもサルスベリと言った方が通りが良い。 必要以上に大…

140字の俳句(日日の事)

桔梗の蕾がパンパンに膨らみ、誰かと話したくてウズウズ している様だ。一たび花が開けば饒舌、周囲にひっきりなしに 話しかけている。 桔梗の蕾開けば直ぐに語りだす 追記 キキョウは秋の七草の一つ。しかし実際は7~8月に 盛期を迎えている。園芸品種とし…

140字の俳句(日日の事)

朝ドアーを開けると、玄関前に油蝉が腹を見せて ひっくり返っている。摘まみ上げて空に投げると 元気よく飛び去る。一体何を考えているのか? 相手によっては大事になると言うのに。 死んだ振りしたばっかりに油蝉 追記 蝉の本心は、もういいかと思ってひっ…

140字の俳句(日日の事)

土手の斜面を覆う夏草の丈も大分伸びた。 折からの強い南寄りの風に薙ぎ倒されて、のた打ち回る。 まるで激流のようにおののいている。 強風に奔流のごと夏野原 追記 「空腹に雷ひびく夏野かな」小林一茶の句です。 俳諧師としての生涯は恵まれたものでは無…

140字の俳句(日日の事)

一日花の朝顔は萎れて地に落ちたり、蔓から離れない 状態でいたり、いずれの姿もチリチリに焦げたようで 如何にも無念と言った表情に見える。 朝顔の唇噛んで萎れをり 追記 朝顔は色彩・形態ともに非常に種類が多い。しかし 黄色と黒色だけは長年作れなかっ…

140字の俳句(日日の事)

端居とは家の中の涼しい場所に身を移して涼をとる事。 この季語には何処となくしょぼくれたイメージが有るように 感じます。通常は縁側で風に吹かれる事のようです。 縁側のある家も少なくなりました。 端居して少し歩くや扇風機 追記 「端居して妻子を避け…

140字の俳句(日日の事)

目の前の岩肌からにじみ出る、冷たく透き通った水。 一体どんな経路を辿って、如何程の歳月をかけて来たものか。 岩は黙して語らない。 滴りや千万貫の岩の黙(もだ) 追記 写実に徹した高野素十の如何にも素十らしい句。 「滴りに集まってゐる水輪かな」こ…

140字の俳句(日日の事)

縁側に一風呂浴びた漢が独り、片肌脱いでフーフー 息をかけながら泥鰌鍋を堪能している。 手に持つコップの中身は焼酎か。 片肌の胡坐でつつく泥鰌鍋 追記 子供の頃、田んぼの近くを流れる小川の水が枯れる 冬場に、冬眠中の泥鰌を手で掘り出して大量にゲット…

140字の俳句(日日の事)

私の借りている家庭菜園は農薬をほとんど使わないので ミミズが多い。 丸々太ったミミズは元気が良い。 勢いよく体をくねらせて元の土の中へ戻ろうとする。 ミミズ這うのの字描いたり直したり 追記 科学の力は凄いものだ。ミミズは皮膚呼吸しているが、 ガス…

140字の俳句(日日の事)

朝の通勤時間帯、すでに強い日差しが照り付けている。 途中、若いカップルとすれ違った。一本の日傘に肩を寄せ合い ながら道を急ぐ。 共稼ぎの新婚さんと見受けた。 日傘でも相合傘は出来るのね 追記 中村草田男の句に「おのずから盲の日傘日の方へ」がある…

140字の俳句(日日の事)

稲が大分育ってきた。一面青々と広がる風景に「青田原」 の季語が浮かぶ。 時折稲の葉先スレスレに燕が虫を追う。 形のよい翼をスマートに翻して。 青田原日ごとに抱く影の濃く 追記 かの山口誓子は「人の住む家のぎりぎりまで青田」 と詠んだ。 恐らく田ん…

140字の俳句(日日の事)

久しぶりにブランコを漕いだ。 そう言えば全身を他に預けて 空間へ放り出すような運動は何年もやっていないように思った。 その意味では新鮮な感覚だった。 ブランコや梢の先に雲の峰 追記 俳句ではブランコの事を「しゅうせん」とか「ふらここ」 と言い、春…

140字の俳句(日日の事)

台風の余波か時折ザーッと降っては上がる朝の道。 坂上の交差点の信号から延びる電線に止まった一羽のカラス。 まだ幼鳥と見られるが、丸々肥えている。 台風の運びし暖気カラス肥ゆ 追記 コーコーカー、コーコーカーと聞き慣れない鳴き声を 繰り返し、誰か…